地味子の秘密*番外編*
―土方side―
信じられなかった。
なにがって…………目の前の光景が。
「もう、……てば……」
「…………ちょっと黙っとけ」
「……んっ」
あの高瀬が。
彼女なんていないと言っていた高瀬が。
女の子とキスして……。
隣にいる近藤も驚きで声も出ない。
目を見開いて……突っ立っているだけだ。
頭の中で時間を巻き戻す。
さっきまで、BKN48のライブに行って。
終了したのが21時過ぎ。
何か食べて帰ろうと3人でファミレスに行った。
食事も終わった頃には、高瀬は誰かとメールをしていて。
もう帰るから、と先に店を出た。
近藤とふたり残されたのだが、高瀬の行動を不思議に思い……コッソリと後をつけてきた。
そうして着いたのは、閑静な公園。
クリスマスシーズンにはイルミネーションが凄いと有名なところだ。
その公園内にあるベンチに寄りかかって、ヤツはぼんやりと空を見上げている。
なにをしているのかと疑問に思ったが、あとをつけてきた手前……偶然を装っても高瀬の前に出て行くのは厳しい。
誰かと待ち合わせでもしているのかと、思っていた時。
別の入り口から、駆け足で誰かが入って来た。