地味子の秘密*番外編*
神崎渉、16歳。

高校2年生───。



晴れ渡る6月初旬のある朝。


学校の正門をくぐり、自分の教室へ向かう。

その時───……。


「渉――!!」


後ろから、よく知る声に呼び止められる。

歩くのをやめて、振り返った。


「なんだ? 樹里」


目の前にいるのは、幼なじみの篠田樹里。

同じく高校2年生。

俺を走って追いかけて来たのか、息を切らしてる。

長い髪がピンク色に染まった頬にかかり、膝に手を置いて呼吸を整えていた。


「ちょっとッ……腕ッ……見せて……!」

「おいおい、お前大丈夫か?」

「私は良いから早く!!」


途切れ途切れに話す樹里を心配したのに、なんだか危機迫るような口調に気圧されてしまう。


おとなしく、樹里に腕を見せた。
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