地味子の秘密*番外編*
├中編
「会長~~! 今日も勉強教えて下さい!」
ニコニコと笑って、今日も昼休みに、俺の席に来る女の子。
「渉はいいなぁ~梨香ちゃんという彼女が毎日来てくれて」
「よせよ……そんなんじゃねーんだから」
周りからの冷やかしを受けつつ、彼女の方を見る。
「今日は何の教科?」
「古典です!」
嬉しそうに答えると、近くの机をくっつけて教科書を広げた。
「どこ?」
「ここです。訳し方がイマイチわからなくて……」
「あー……ここな。えっと……」
彼女のペンケースからシャーペンを取り出して、説明を始める。
うんうんと頷きながら聞く彼女は、河西梨香(かさいりか)。
学園の1年。
柏木達の話では、今年入学した1年の中でNo.1の美少女と言われている女の子らしい。
ピンクブラウンのサラサラとした髪。
小顔で、大きな目。
ふっくらとした唇は、潤ってて男を誘うそうだ。
彼女には失礼だが、樹里の方が上だと思う。
つーか、俺は人外のモノが見れる人間。
テレビに出てる芸能人よりキレイなモノも見てきたから、特に河西がカワイイとは思えない。
1週間前、この教室でいきなり告白されて戸惑った。
今の俺には、恋とかは考えられなくて……断ろうとした。
しかし彼女が、「私のことを知って下さい。それから答えはもらいたいんです」と言い、この1週間は毎日教室に来るようになっている。
勉強を教えてくれと言ってくるが、説明を始めるとまじめに聞くので、「まーいいか」と考えているんだ。