地味子の秘密*番外編*
保健室に入って手当する間、ずっと考えてた。

どうして……樹里に触ろうとする男達にイラつくのか。



でも、手当が終わり……顔を上げたコイツを見て、理由がわかった。


「ありがとう渉……」


痛かっただろうに、それを感じさせないくらいの柔らかい笑顔。


「あぁ……」


こういう表情を他のヤツに見せたくない。

出来るなら、俺だけが見ていたい。

昨日のように、細くて柔らかいコイツを抱きしめたい。

次々と独占したい気持ちが溢れる。


そっか……俺……樹里が好きなんだ。


幼なじみとしてじゃなく、ひとりの男として。


自分の気持ちに、ようやく気づけたと思ったら。


「渉……お願いだから……どこにも行かないで……」

「樹里?」


望んではいたが、いざ今されると困る……。


また、昨日のように抱き着かれた。
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