地味子の秘密*番外編*
抱きしめていて……いまさら気づく。

コイツ……細い体の割には、スタイル良いんだな。

長くてサラサラな髪を撫で下ろしながらそう思った。


「……樹里」

「なぁに?」

「ちょっと離れろ」

「え〜イヤ!」


そろそろ限界なんだよ……理性がな。


「離れなきゃ口塞ぐ」

「……いいよ?」


樹里が首筋から顔を上げ、目線の高さが同じになる。

コイツ……俺を振り回す天才だ。


「じゃあ……塞いでやるよ」


ハァ……とため息を漏らした後、クスッと小さく笑って……樹里に口づけた。




これが、お互いの初恋が実った瞬間だった───。





そして、5年の歳月が経ち……。

大学卒業と同時に───。


樹里は、“篠田から神崎”になった。
< 75 / 381 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop