地味子の秘密*番外編*
├前編
――陸side――
年末の事件も落ち着いた2月初旬。
まだまだ寒い日が続いている中、今日も杏とふたり、西棟の3階……一番奥の人気のない
教室で穏やかな昼休みを過ごしていた。
隣に座っているコイツは、何やら藍鬼と一緒に雑誌を見ている。
壁に背中をつけて、足を伸ばし……その上に藍鬼を乗せていた。
なにしてんだ?
「杏ちゃん、僕、これがいいなぁ~」
「へぇ~藍鬼はこれ? う~ん、わかった」
気になった俺は、というか……藍鬼に杏を取られて悔しかったため、近づいてみることにする。
「お前ら、なに話してんの?」
ふたりが見ていた雑誌を横から覗き込んだ。
……“大切な人に贈りたいバレンタインチョコ特集”?
目に飛び込んできたのは、そんな見出し。
カラフルな文字が雑誌の一面に散りばめられていた。
「なに?陸も贈りたい人いるの?」
雑誌から顔を上げて、杏がそんなことを言う。
いやいやいや。そんなわけねーだろ?
バレンタインって、女が男に贈るもんだし。
つーか、俺に贈りたいヤツがいたら、お前イヤなんじゃねーのか?
「いねーけど……」
そう返すと、特にホッとしたというような様子もなく、「へぇ~そう」と、あっさり片づけられた。
表情からして、俺が誰かにチョコを贈ることをまったく気にしていない。
杏にとって、バレンタインチョコを贈りたい相手って、俺じゃねーの?
杏ちゃん……確認すっけど、俺、彼氏だよね。今年もらえるよね?
そう聞きたいが、返ってくる答えが怖くて聞けない。
年末の事件も落ち着いた2月初旬。
まだまだ寒い日が続いている中、今日も杏とふたり、西棟の3階……一番奥の人気のない
教室で穏やかな昼休みを過ごしていた。
隣に座っているコイツは、何やら藍鬼と一緒に雑誌を見ている。
壁に背中をつけて、足を伸ばし……その上に藍鬼を乗せていた。
なにしてんだ?
「杏ちゃん、僕、これがいいなぁ~」
「へぇ~藍鬼はこれ? う~ん、わかった」
気になった俺は、というか……藍鬼に杏を取られて悔しかったため、近づいてみることにする。
「お前ら、なに話してんの?」
ふたりが見ていた雑誌を横から覗き込んだ。
……“大切な人に贈りたいバレンタインチョコ特集”?
目に飛び込んできたのは、そんな見出し。
カラフルな文字が雑誌の一面に散りばめられていた。
「なに?陸も贈りたい人いるの?」
雑誌から顔を上げて、杏がそんなことを言う。
いやいやいや。そんなわけねーだろ?
バレンタインって、女が男に贈るもんだし。
つーか、俺に贈りたいヤツがいたら、お前イヤなんじゃねーのか?
「いねーけど……」
そう返すと、特にホッとしたというような様子もなく、「へぇ~そう」と、あっさり片づけられた。
表情からして、俺が誰かにチョコを贈ることをまったく気にしていない。
杏にとって、バレンタインチョコを贈りたい相手って、俺じゃねーの?
杏ちゃん……確認すっけど、俺、彼氏だよね。今年もらえるよね?
そう聞きたいが、返ってくる答えが怖くて聞けない。