地味子の秘密*番外編*
それからは、休み時間の度に……呼び出しのラッシュ。

内容はーーー……告白。

チョコと一緒に、「ずっと好きでした!付き合って下さい!」という一言。

学校では、王子様を演じているため……傷つけないような言葉で断る。

名前も顔も知らない女たちからの告白は、正直怖い。

話したことも、関わったこともないのに、好きだなんて……言える女たちの気持ちが理解できない。

好きなら、そっちからアプローチして来いよとも思う。


身も知らずのヤツからコクられても、OKすることってそんなにないだろ?

中には、容姿がずば抜けていたり、スタイルが良かったりで付き合おうと思うヤツもいるのかもしれねーけど、俺は、相手が俺の学校での姿しか知らね―のに……彼女にするとかはムリだな。


本当は王子様でもないし。

都合がいいから、そう演じているだけ。

告白を断ると、「せめてチョコだけでも!」と言われて、無理やり渡されることが多い。

そんなんで受け取っていたら、あっという間に、段ボールがチョコで埋まる。


放課後まで告白が終わると、段ボールを抱えて帰宅しようとするのだが、正門で他校生が待ち伏せ。

その子たちからも、チョコと告白を受け、チョコだけを受け取って家路につく。

だが、家にも親父の友人や、取引先の相手からチョコが親父と俺宛に届いてるんだ。

学校からだけでも、大量すぎるほどにもらったのに……自宅にまであると、頭痛がしてくる。


俺は甘いものがホントに苦手。

チョコなんて甘ったるいモノを食べられるわけがない。

だから、毎年もらったチョコは、家にいるお手伝いさんたちにあげることになっている。


多少、咲姉にもあげるがな。


……渡すときには文句付きで。

「なんで、女の子たちの気持ちが詰まったものを食べてあげないのよ!」というような説教を毎年される。

もう、耳にタコができたくらいだ。

そんなことを言われたって、食えないものは食えない。

口に入れるだけで、吐き気がするし。


そう返すと、必ず回し蹴りを喰らうんだが……。


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