地味子の秘密*番外編*
は……い?


「あれだろ?去年のお詫びで渡されたんだろ?」

「あぁ。でも、D組のヤツらには、直接彼女から手渡しだぞ?」

「マジ?」

「いいなぁ~俺もD組ならよかった!」

「えへへ~いいだろ?」



嬉しそうな男の声。

どうやら、D組らしい。

杏が言っていたクラスへのチョコをもらったようだ。


俺……泣いてもいいですか?


男たちの様子からして、もうクラスには全員配ったんだろう。

なのに、彼氏である俺にまだくれないってどういうことだ?


「な、ちょっとくれよ!」

「ムリムリ!杏樹ちゃんからのだぞ?味わって食べるさ」

「ケチ~」


楽しそうな笑い声に、さらにイライラが募る。


「でも、D組のヤツらは義理だけど、滝本は本命をもらえるんだよなぁ~彼氏ってうらやましい!」

「だよなぁ~杏樹ちゃんの本命チョコってどんなのだろ?」

「杏樹ちゃん本人だったりしてな?」

「うわっ!それ最高じゃん。ま、滝本は幸せもんだよな」



まだ……も、もらってないんですけど。


つーか、そんな会話一言もなかったんだけど。


「ちゃんとくれんのか?」


ポツリと呟いて、机に顔を伏せた。



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