地味子の秘密*番外編*

└後編

そして、昼休みーーー。


いつもなら、杏の手作り弁当を西棟で食べることになっていたんだが……。

杏が今日は、3・4限目に調理実習らしく、ふたりでは食べられない。

今日……チョコだけでなく、弁当もなしか?

ガクリと、頭を落としていた時。

なんだか、教室の中が騒がしくなったような気がした。

特に男たちが。


そして―――。

「なんで……拗ねてるの?」

は?

いつも聞いている声が聞こえる。


パッと顔を上げると、

「あ、杏……?」

「なんでそんな浮かない顔してるのよ?」


俺の席の隣に不思議そうな顔をした杏が立っていた。


「な、なんでここに?」

いつもなら、俺の教室に来ることすら嫌がる。


なんでも、女たちの視線が痛いらしい。

そんなことねーと思うけど。


「なにって、決まってるじゃない」


え?それって……。

やっと、チョコを渡してくれんの?

少々呆れたような顔の杏に、期待を込めた。

やっともらえる!

それも、男たちの前で!


杏が教室に居るっていうことで、男たちが鼻の下を伸ばしている。

この中で、チョコをもらえるなら、俺幸せかも……。

優越感だな!



ウキウキとして、先ほどまでの憂うつな気分なんてどっかに吹っ飛んでいた。



「はい」


そう言って渡されたものは―――……。


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