シンデレラ・セル
Liberamente
正直な話、私はこんな世界、明日滅んだとして微塵の心残りも無かった。寧ろさっさとなくなれば良い、そう思っていた。
それは勿論自分の居た中学校──当然小学校もだ──に対してもそうであって、早く卒業したい、否、(こんな学校消えてしまえば良いのに)…なんてずっとずっと考えていた。
私はこんな世界、大嫌いなのだ。──無論、今も現在進行として持続されているけれど。
「笹川ってお前?」
それは、唐突に起こった。
そうだけど、と私は言う。何故同じクラスであるというだけの存在の彼──名前は知らない──が話し掛けて来て、更に笑顔なのか私には理解出来なかったのだ。
「高校楽しくない訳?」
「…いえ、…別に」
ふぅん、名も知らぬ彼はそう言ったが、私としては如何してそんなことを案じられなければならないのか、と疑問──と言うには漠然としているが──に思った。
実際、楽しい訳が無かった。頭の悪い学校の頭の悪い連中の背景でじっと黙って外を眺める行為の何処が楽しそうに見えたのだろうか。
「なぁ、弁当とか一緒に食わね?別に俺だけじゃ無いしさ、な?」
「………え…?」
信じられない。
この世界は、日陰の人間を悉く暗い場所へと追いやるような最悪な地では無かったのだろうか。
目の前で笑う少年の純粋さと明るさとその救世主的思考に私は心の内で気怠く拍手をした。