シンデレラ・セル
周りの全てが雑音に感じられた私は暫く其処で立ち尽くしていたが、その掃き溜めの中から一人、立ち上がった影があった。
「お前さあ!」
ざわざわ、ザワザワ。
きっと大きな声であっても今のこの学食内に彼の声を聞く者など無かった筈だった。
ザワザワ、ざわざわ。
世界は私を置いて行く。何か立ち向かわねばならないものに向かって駆け抜けて行く。私を、置いて。
背が高く、悲しいくらいに整った顔をした彼と雑踏の様な学食の中で目が合った。一瞬、ではなくて。
「体!売ってんだろ!?」
世界が、私を振り返った。
しんとした空間、其処に居る者全てが私を見た。値踏み、するような下劣な視線を。