辛いくらいに君が好き
「ついた…」
――焼却炉――ここは、高校生の頃からのあたしのお気に入りの場所だった。
掃除のときなんかは「ゴミ捨てに行ってくるね」なんて言って、よくサボッたっけ…。
手に持ったアルバムを開き、ペラペラとページをめくった。
アルバムの中の写真は、あたしと…拓馬しか写っていない。
この写真たちはあたしと拓馬が付き合っていたときの想い出のもの。
今はバラバラになってしまったあたしと拓馬。
でも、ほんの少しの間でも、あたしたちが愛し合っていたことを、このアルバムは証明していた。
同じ時間を過ごしていたことを、証明していた。
できることなら、できることなら…このアルバムを、写真たちを、捨てたくない。
けど…あたしは拓馬と別れてから、時間が止まったままで…拓馬はきっと前に進んでいるはずなのに、あたしは拓馬と別れたあの瞬間から前に進めていない。
いつまでも過去にすがっているわけにはいかない。
拓馬のように前に進めなくとも、拓馬さえ忘れることができればどれだけ楽になるだろう……
拓馬への想いに、終止符を打たなければ…
その証として、まずはアルバムを捨てるんだ…。
一枚の写真を取り出した。
…これは、拓馬と一緒に公園で写真を撮ったときのもの…
マッチでその写真に火をつけ、焼却炉に入れて燃やした。