おちます、あなたに
いろどる
将樹先輩と出会って、早二ヶ月。
着かず離れずの、傍から見れば良好な先輩後輩の関係は今も継続中。
「悠、コーラス大会なに歌う?」
季節は文化祭に向けて、クラスが団結し始める初夏。
LHRは、合唱曲を決めるための時間に割り当てられた。
これが終われば帰れるとだけあって、クラスメイトはみんな必死に睨めっこしている。
私はなんとなく、曲が載ったプリントを眺める。
「ん〜、ぴん! とこない。ま、私は伴奏だからね」
暗になんでもいいんだ、と込めてみた。
「えー! 伴奏だから弾きたい曲を選ぶんでしょ?」
恭子は、言外に込めた言葉に気付き、私を軽く非難する。