おちます、あなたに


「ごめんっ、待ったよね!?」 

「大丈夫です。いい天気だったから、うとうとしてました」

 息を切らした先輩の、乱れた蜂蜜色の髪。

 やっぱり、先輩の髪って綺麗。

「じゃあ、帰りましょう?」

 私と先輩は、透き通る晴天の下、並んで歩き始めた。

 蜂蜜色。
 緊張が、するすると紐をほどいていくように緩まる。

 蜂蜜色。
 私が先輩を認識した、ハジメの色。

 日の光が、まぶしい。
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