おちます、あなたに
校門を通り過ぎたあたりで、先輩が言葉を発した。
私は前をまっすぐ見る。
「悠ちゃん、なんかおとなっぽい。昨日と違うみたいで……俺、緊張するんだけど」
「え、そうですか? 私、いつもとおんなじですよ」
もし、そう感じるなら、私が前に進むことしか選択肢を選べなくなったからだ。
原因は、先輩にあるのに、おかしなの。
「将樹先輩こそ、今日はそわそわしていませんか?」
「俺が? あー、それ遼にも言われた。うん、よし」
後頭部を掻いて一呼吸置いた先輩は、足を止めた。
私も、先輩を見上げる。