お兄ちゃんの話
屋上にやってきました。
昨日よりはるかに寒い。
こんな時期に屋上かよ。とか思いながらもあの状況から逃してくれたお医者さんに感謝します。
私は、このお医者さんが好きではありませんでした。
なにしろ一番最初にお兄ちゃんは、いずれ死にます、と言ったこの医者を好けるわけがないのです。
絶対またいやなこと言われるんだ。
もう何も聞きたくないのに。
お医者さんはお兄ちゃんと同じくらいの年の人です。
そんな人が、しかもお医者さんがお兄ちゃんを死亡宣言したことにびっくりです。
しかもざっくりと。
死にます。と。
「なぁ・・・。」
ふと、医者が話かけました。
「・・なんでしょうか。」
すっかり涙も冷たい風で乾いた私がさめた声で聞き返します。