お兄ちゃんの話







どうやら私は現実を受け止める前に悲しみだけをうけとめてしまったようです。






ドアをまだあけてないのに。




あけてないはずなのに




私はドアの前で涙を流していました。






「うっ・・・ひっぐ、ぅっ・・・ふぇぇ・・」







めったに泣かない私が泣いた日にはお兄ちゃんが必ず隣いてくれました。






私が小さいころいじめられて泣いていたお兄ちゃんは私をいじめた奴をこらしめてくれました。








でも、今私の隣におにいちゃんはいません。



ドアの向こうにいるのです。



ドアを開けなきゃ会えないのです。





あける?


あけない?



あける?



あけない?



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