切恋

「もうっ！愛望！元気ないなぁっ！！」あたしの事を心配して梨菜が明るい口調で言ってくる。　　「元気ありますぅ！！」プゥっ、と頬を膨らませてあたしも梨菜に反撃。
　校庭に咲く桜はヒラヒラと舞っていて、とっても綺麗。
ピンク色のヴェールが校舎を包んでるみたいっ！　　　そう考えると、余計に凄いなぁ、と感動する。　　　　「ねね、愛望さぁ、翼くんと付き合いたい、って思わないの？」
　梨菜は小さい声であたしに問う。　　　　「んー。思わない、かなぁ。翼と由香ちゃんの邪魔、したくないんだもん」うん。本当に心からそう、思える。
　由香ちゃんは性格も良いし美人だしスタイルも抜群、おまけに成績は学年２位。
非の打ち所が無いくらい完璧で・・・。翼とはお似合い。
　
　
でも、噂によると由香ちゃんを上回る可愛い女子が居るとか。
　　　　ね？由香ちゃんがこんな女の子だから、あたしは絶対邪魔はしちゃいけない。

　あたしは・・・。あたしは、早く、１日でも早く、忘れなきゃダメ、なのに・・・。