切恋
翼side
パタパタと聞こえる足音。 授業開始時刻はとっくに過ぎてて、来ていない生徒は2人。 愛望と梨菜。 「すみませんっ!」ハァハァ、と言ってるから息が切れてる事が分かる。 「先生、黒板消してて遅れました」先に遅れた理由を言ったのは梨菜。 隣の愛望は驚いた顔。 おもしれぇ。「佐藤、お前はどうしたんだ?」先生が愛望を見ながら、問う。 「そ、そのぉ。睨めっこ、してまし・・・た」最後の方の語尾は明らかに消えてる。「なんだ?それは。ハハ、佐藤は相変わらず可愛いなぁ」ニコ、と笑って愛望に言う先生の顔は笑ってる、と言うよりはニヤけてる。 コイツの人気は何処まであんだよ。 なんて思ってるうちに愛望は後ろの方で体育座りをしてる。 俺も急いで前を向く。すると・・・。 「なな、愛望ちゃんってマヂ可愛いよなぁ」 「だよな。俺、愛望ちゃん狙いだし」ヒソヒソと聞こえる会話の話題は、愛望。 此処にもか・・・。 呆れ帰ってろくに先生の話も聞けずに授業開始。