ピーターパン症候群


「桜田君!あ、あの・・・これ!」

「・・・ああ」

「よ、読んだら返事してね!」

休み時間に同じクラスの女子(吉田裕子・・・だったか)が、頬を紅く染めながら、それを僕に渡した。

所謂、ラブレターという物なのだけれど。

僕はこういう物を貰っても、嬉しくない。

断る時に泣かれるのが鬱陶しい。

ラブレターをピラピラ動かしながら、遠くを見つめると、外の向こうにキラリと緑色に小さく光る何かが見えた。

疑問に思ったが、それは直ぐに消えた。

もしかしたら、目の錯覚だったのかもしれないと、僕は興奮する気持ちを抑えていた。

 
< 6 / 12 >

この作品をシェア

pagetop