彼女が俺を好きな理由 ~未来をふたりで~
それからしばらく、加奈は顔を見せなくなった。
加奈に会えないだけで調子が狂う。
「兄貴?何ボーっとしてんだよ?」
ケンタに問われて、自覚する。加奈を待っている自分を。
来るななんて言っても、いつも気にしないで毎日上がり込んで来るのが加奈だろ…!?
そんな矛盾に満ちた想いが渦巻いて、俺は重い腰を上げた。
「くそ…アイツ本当にめんどくせぇ!」
「兄貴!?今から出掛けんの…?どこに…」
「隣!!」
そう吐き捨てて、俺は家を飛び出した。