彼女が俺を好きな理由 ～未来をふたりで～

「翔ちゃん？何の用？」


ドア越しに聞こえる彼女の声に、驚きを隠せない。


いつもと違うテンション。いつもと違う態度。


「…せっかく勉強の邪魔しないようにしてあげてるのに、翔ちゃんが来ちゃ意味ないじゃん」


加奈らしくない台詞も、もっともな意見だ。でも。


「話があるんだよ。お前に。入るぞ」


無理矢理ドアを開けた俺と、俺が入ると目をそらす加奈。


久しぶり会った彼女は、明らかに元気がなかった。


「お前…ちゃんと飯食ってんのか？」


元々細い体が、更に小さくなったような気がした。


「…翔ちゃんに心配されたくない。平気」


いつもの彼女からは一度も聞いた事のない言葉は、胸に突き刺さった。