彼女が俺を好きな理由 ~未来をふたりで~
確か玄関で靴を履くまでは持ってたような気がする…うん。きっと、玄関に置いて来たんだ。
また戻って来たと思われるのも嫌だし、翔ちゃんやケンちゃんに出くわして嫌な顔されるのはもっと嫌だ。
私はこっそり玄関を開けて覗いてみる。
あ、やっぱりあった。そう思って音をたてないようにドアを開けて鞄に手を伸ばした。
「全く…加奈の奴、俺の言う事は信じねぇくせに、母さんの言う事なら信じるんだな」
リビングから聞こえるのは、ケンちゃんの声。
「母さん、ちゃんと加奈に言ってくれたよな?」