彼女が俺を好きな理由 ~未来をふたりで~
私の名前は鈴木 加奈(スズキ カナ)。
さっき私を冷たく放り出したのは、2歳年上の隣の幼なじみ、高瀬 翔太(タカセ ショウタ)。一応彼氏。
「息の吸い方も忘れたのかよ?毎日毎日、懲りもせずよく来るよな。兄貴も受験生だけど、俺もなんですけど。毎日うるさいんですけど。つーか、今邪魔なんですけど」
嫌みたっぷりに上から降ってくる言葉に顔をしかめる。
「ケンちゃん…お願い、それ以上言わないで。私にだって限界があるんだからぁ…」
ゆっくりと立ち上がると、すっかり背が伸びて見上げるようになったもう一人の幼なじみが立っていた。
私よりひとつ年下で、翔ちゃんの弟。高瀬 賢太(タカセ ケンタ)。高校受験を控えている。
手に持っているお盆には、おばさんが翔ちゃんに作ったと思われる夕食が並んでいた。
「ね、ねぇケンちゃん。私が翔ちゃんに持って行くよ!!」
ケンちゃんはため息をつきながら首を振る。
「だーめ。俺が兄貴に怒られる」