彼女が俺を好きな理由 ~未来をふたりで~
「………けちっ!馬鹿!ケンちゃんなんて…受験落ちちゃえ!」
私の文句もまともに聞かず、翔ちゃんの部屋に入ったケンちゃん。
立ち尽くす私。
翔ちゃんが野球部を引退してから、マネージャーになっていた私とは一緒に帰る事が出来なくなった。
マネージャーになりたかった私と、最後まで反対した翔ちゃん。
すぐに引退する事はわかっていた。でも少しでも彼の側にいたくて。
そんな私に翔ちゃんが出した条件。
『ちゃんと3年間辞めないでやり遂げる事』
翔ちゃんはわかっていたんだ。私が翔ちゃんの為だけにマネージャーになりたいだけな事を。
不純な動機は後悔をもたらした。
今は、翔ちゃんと顔を合わす事さえ難しくて、弱っていく自分を持て余す毎日。
でも私は翔ちゃんとの約束を破れないから。