cherry
「きっかけはね・・・入学式のとき―。」



―そう、あれは入学式のとき・・・

全校生徒の前で、スピーチをしている先生を見て、一目ぼれしたんだ。

「3年間、俺と一緒にいい思い出を作ろう!」

先生は、そう言った。

この人が、担任だったらいいのに・・・

あたしの思いも虚しく、担任は違う先生だった。

まだ、まともに喋ったこともない。

地味なあたしは、みんなと違って、積極的に話し掛けることが出来ない。

唯一交わす言葉といえば、

「おはようございます」

たったそれだけ。

そう言うと、決まって先生は、

「おはよう!」

と元気よく返してくれる。

この言葉だけが、あたしと先生を繋ぐ、唯一の言葉だったんだ。


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