下僕主とツンデレ超えた召喚物
『ガアァァ』
一つ首をやられた仲間が一斉にラグナに向かった。
左右から一気に。
この時、初めてラグナが“動きを見せた”。
【深風、五倍の風密集よ】
飛んだ。
ジャンプにしては高すぎて、獣さえも届かない高飛びに地を走る敵は空にわめくだけ。
しかし翼ない人間は落ちるのが末路であり、落ちる上で移動できない人間はそのまま獣の餌食に――なるはずだった。
【三十二番、最古の堅根】
落ちる瞬間にラグナの手から、黒い槍が出てきた。
真っ黒いただの針にも見えるし、少々歪んで今にも折れそうな得物だ。
それを下に向けた奴。
目標なんて分かりやすい、ラグナ自身がダート(矢)になった状態で当たった的は。
『キャウッ』
短い悲鳴は白い獣から。
首筋に件の槍を刺された獣が暴れ出した。