下僕主とツンデレ超えた召喚物


(二)


「死ぬことはない。三首の内、一首でも生きていればケルベルスは“死んだ”という消滅には至らないからな」


控え室に戻るまでの細い廊下。ラグナと二人っきりになったところで、俺は聞いた。


聞いたといっても、俺が何か言いたそうにしているのを察したラグナが勝手に答えたことだが。


「白黒首(真ん中)は攻撃性を持ち。黒首(左)は知能性に長け。白首(右)は保守性が優れている。三匹いるように見えても、三首で一匹の奴らなんだ。

多分は白首が生きているだろうな。時間はかかるも、必ず生き返る。死なないように加減はしたからな」


ケルベルスの特性を知り尽くしたラグナは大丈夫だろうと素知らぬ顔で語る。


――あんなことをした後だというのに。


よくよく考えれば、ラグナの魔術――大技を見たのはこれが初めてだ。


学園内でのものなど幼稚すぎるとも思える。


次々と一節の詠唱で行われた魔術たち。


多彩な技であり、多才だからこそ扱える技ばかり。


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