下僕主とツンデレ超えた召喚物


言って、ラグナが立ち止まった。


【十八番、首切り】


出されたのは見覚えある断頭台。

びびって下がるが、目はその大きな刃物に向いたまま。


綺麗な刀身でも、何だかまがまがしい。


血をよく吸った刃物をいくら洗おうとも黒ずみはとれないように、ラグナの断頭台も随分と“使い続けた雰囲気”が残っていた。


「普段なら詠唱なしに、指で数字――何番の武器と頭でイメージし書くだけで貯蔵庫の武器を取り出せるが、ここでは遠い。遠すぎるんだ。

まあ、持ってこれないよりかはましだが」


すぐに消された断頭台。


断頭台を持っていた右手をグーパーして、ラグナはまた歩き始めた。


ラグナの魔術講義はこれで終わりらしい。


魔術師の欠点を補ったラグナの戦闘スタイルは、剣士よりだ。


大技(魔術)に頼りきるのではなく、己の肉体で戦う剣士。


しかして、剣士では扱えない魔術も使えるとなれば。

文武両道とは意味は違うかもしれないけど、ラグナには“欠点”がないように思えた。


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