下僕主とツンデレ超えた召喚物
ラグナが俺の手を払う。
「俺は彼女に会ったこともない。この世界に来たのは現在(いま)が初めてだ」
決定的なことだった。
クリアがそうだとわめいても、片方が違うと断言すればそれは違うのだろう。
間違いは間違いだ。
曖昧な昔の思い出を頼るクリアと違い、ラグナはこの世界に来たことは今までにないと言い放つ。
第一、女神様という呼称だって男たるラグナには合わない。
子供時代、瀕死の状態を救ってもらえれば性別の有無も気にしてられないかもしれないが。
全てはクリアの妄想(勘違い)。
思い出を“忘れぬよう”にと濃くしていき、逆に細かな判別を捨ててしまった記憶違いだ。