下僕主とツンデレ超えた召喚物


観客の一人だ。


「おい姉ちゃんっ、観客にサービスしろって!胸ありゃ他はなくてもいいんだからよーっ」


そう言った男の声がよく響いたのは、周りが黙っていたから。


ブロッサムが入場した時点で誰もが黙っていた。普通は、あの野次を飛ばした観客みたく女というだけで盛り上がりそうなのに――今は違う。


あの観客が場違いだと言わんばかりに。


『あーあ、おのぼりさんがやっちゃいましたねー』


呆れたアナウンスに続き、悲鳴をあげて野次を飛ばした男から逃げる観客。


男が一番うろたえていた。ただ場が盛り上がるような話題を言っただけじゃねえかと逃げる奴に言うが、誰も聞く耳を持たずに男から離れる。


俺自身もよく分からない。なんで男が避けられるのか、たった少し言葉を出しただけ。


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