下僕主とツンデレ超えた召喚物


『オォォン』


だったというのに。


轟いたのは獣でも鳥でもない、強いて言うならばクジラみたいな遠くまでよく響く形容し難い鳴き声。


「下がれっ」


ラグナの声。

俺の前に立ちながら、己も下がるラグナ。


前に現れたのは、鳴き声の大きさに比例した巨大な純白。


大聖堂のように見ただけで神聖だと思える迫力と純正さを兼ね備えた召還物がそこにいた。



純白のドラゴン。



憧れを抱いていた神話の生物。龍のように尾から胴体、頭と続いた蛇みたいな体をしておきながら、トカゲのようながっしりとした足を四本持ち、地に爪を立てて立ち上がっている。


胴体には入れ墨らしい模様が書かれていて、一種の銅像らしく美しく見えた。


四枚の翼が広がる。
大きさが二倍にも間違えてしまうほど、あれで空を自由に飛ぶんだろうなぁと下らないことを思って。


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