下僕主とツンデレ超えた召喚物
ぶすぶすと灰色の煙を出す炭。こちらまで匂いは伝わらないが、観客たちが鼻をふさぐあたり“悪臭”がするのだろう。
人が焦げた匂い。
風にでも伝わってきそうでぞくりとした。
首を伸ばしていたカルデラが頭を下げる。
目は金色。ちらりと俺を見たようだが。
「ああ、ラー。私のためにしてくれたのね」
感極まった女の声にカルデラは反応した。
頭を更にさげて、口元をブロッサムに近づける。
右腕だけをあげた彼女はよしよしとカルデラを撫でて――キスをした。
口と口。
ペットと飼い主の他愛ないものから。
舌と舌。
舌を出したカルデラのそれをペロリと惜しみなく舐める気味の悪い行為まで。
「ラー、愛していますわ。あなたもでしょう、ねえ?ずっとずっと一緒にいましょうね。
この戦いが終わったらいっぱ二人だけの時間を、月が落ちても続く蜜月を。
だって、今日の彼はあなたの存在を長く居止めさせるには申し分ないのですもの」