下僕主とツンデレ超えた召喚物
「言われる前に言っておこう。断頭台(これ)を出したのは奴を倒すためではなく、別の手段の時間稼ぎだ。ないよりはましだろう、戦ってはいられるからな」
「いや、確かに聞きたかったけど、お前、ドラゴン相手に――って!」
立ち向かったよ、あの野郎。
走り出し、カルデラの前足にがごんと断頭台をぶつけた。
本来ならば今ので切れるはずだろうが、堅いらしいカルデラには“ぶつけた”という現象でしかない。
ぶつけたすらも痛いと感じないカルデラは首をもたげて、ラグナを食べようとする。
開かれる口、迫り来る牙、にじりよった舌。
ワニやカバよりも粉砕力がある顎に怯まず、奴は断頭台をまた“ぶつけた”。
戦えている。
勝利への可能性は一つもないが、負ける可能性もない状況。
拮抗しようとしているのだ、人がドラゴンに。