下僕主とツンデレ超えた召喚物


「ああ……」


目の前にある口を見て、本気で感じたことがある。


ラグナはやっぱり凄い。



だって、“この口”に立ち向かったのだから。



誰もが腰を抜かす大顎に――



【オォン!】



予想外のことが起こった。


誰もが驚き声を並べる。


観客も、ブロッサムも、ドラゴンとて。ましてや、俺だって。


「なん、だ……」


腰を抜かした俺の周辺には“膜”があった。


うすぼんやりとした、目を凝らさなければ見えないほどの膜が俺を包むように――それこそ、先ほどブロッサムを守ったドラゴンの翼のような膜が俺を大顎から守っていた。


何度となくカルデラが俺を食べようと向かうが、突進するたびにはじかれ、爪で串刺しにしようともバネを触ったごとく俺まで届かない。


< 203 / 319 >

この作品をシェア

pagetop