下僕主とツンデレ超えた召喚物


一度目の咳から何度も苦しそうに、呼吸の代わりに咳をするがごとく声をあげるカルデラの口からは――



緑の葉っぱがはらはらとでていた。



咳一回につき、数枚。開かれる口に葉っぱなんかなく、あるとすれば口よりももっと“奧”から緑は出ている。


体内だ。
先ほどの種子が、鼻や口から体内に入りこみ成長したらしい。


見える分のツタや葉はカルデラが引きちぎったが、体内にあるものをどうして始末できよう。


トカゲの目を軽く潤ませ、呼吸困難に陥るカルデラは見ていて可哀想なものだった。


「らっ、ラー、ラー!ラアァァ!」


ガチャンの音。

ブロッサムが乗っていた車椅子から落ちた。


痛いだろうに、それでも彼女は片腕で歩腹前進をしようとしている。


「苦しまないでっ、すぐ助けてあげ……っ」


ブロッサムが頬を地につけた、狂乱していたみたいだが、落ち着いたか。


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