下僕主とツンデレ超えた召喚物


俺にまで届いたから思わず身構えたが、特に変化はない。


ただの威嚇かと思いきや、地に落ちた鱗粉がその正体を現した。



花、だった。



真っ白なユリのような花。


芽から蕾、花と倍速の成長をし、荒れた荒野が花畑と変貌した。


綺麗とも言える光景。
花ばかりがあるのに、なぜだがむせかえる気分になった。


花の種類がいけない。


花粉をいっぱいにつけたおしべをさらし、俺たちに向けられているのだから。


匂いがきつかった。

香水の原液をそのままかがされているようで。


「かぐ、な……!」


「な……!」


言われて初めて鼻をふさぐが、もう遅い。


なんだか、頭がクラクラしてきた。


ラグナと違い立ってはいられるが、意識がぼうとする。


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