下僕主とツンデレ超えた召喚物


……あれ。

周りの“色”が変わっていく。


ピンクなオレンジなそんな色で、周りの観客の姿や声も見えなく聞こえない。


空間転移、か。

でも、花とラグナと彼女はきちんといて。


「……」


膝をつく。

なぜだか、そうしたくなった。


頭を振りまくっていれば、元通りの光景が一瞬だけ見えたが――すぐにまた不可思議な世界に眼球が呑まれてしまう。


――幻想だ。


思ったのは早かった。


花の花粉が見せる幻は、彼女の体を変化させる。


よく見知った奴になりやがった。


さっき泣いていたクリアそのまんまになって、俺の心にいやな気分を植えつかせる。


「クリ、ア……」


泣きながら、クリアの手には一枚の葉が持たれた。


持っただけで葉が刀のように長くなる。


悲しみに溢れたクリアは刀を持ってラグナに近づき、先ほどラグナがやったように大きく縦にふるった。


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