下僕主とツンデレ超えた召喚物


無防備なラグナでも、まだ動ける力があったか――左にずれてぎりぎり彼女が持っていた葉刀をかわす。


けども左腕に切り傷を負い、ついで。


はらり、と。ラグナの眼帯も取れた。


左目の眼帯。
片目だけの瞼をとじる力もなかったか、奧にあった眼が、今日はさらされた。


真っ黒だった。
黒真珠をそのまま埋め込んだような目で。


「……!」


その目に一番に驚いていたのは彼女だった。


葉刀を落とし、下がる。



「おい、フィーリア!」


「……!」


首をふる彼女は何を訴えたいのか。


幻想の世界で、優勢たる彼女はたった一つのことで手出しできなくなっていて。




【神に拮抗しよう】




魔の音色が辺りに響いた。


< 228 / 319 >

この作品をシェア

pagetop