下僕主とツンデレ超えた召喚物


「百億」


すうと沈黙にはよく響く声は言った。


がたいが良い男の間から守られるようにして出てくる、赤い奴。


赤い帽子をした赤いスーツで身にまとった。


「おまえ……」


にやりと笑う奴が俺たちを通り過ぎて――ガーゼであてがわられた右耳を見せつけるように、指輪に近づいた。


「現金(キャッシュ)だよ、確かめればいい」


バッテラ氏の前でスーツケースが開かれた。


中は金が詰まっていた。


百億どころかそれ以上あるんじゃないかと思う紙の山。


確かめればと言われても時間がかかりそうだが、偽札ではないだろう。


カルヴァリーラウンドで何年も王者であった奴だ、金を持っていても不思議じゃない。


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