下僕主とツンデレ超えた召喚物


面倒なと向けられた敵意にラグナが舌打ちをする。


ラグナと目が合う奴はそれ以外は何も見えていないように。


「痛いんだ、右耳が。うるさいんだ、右耳が。はやくはやくはやく、てねー。

ハエよりもうるさく右耳が“鳴る”(痛む)んだよ。こうした奴に復讐しろって」


あはは、と渇いた笑い声。


思わず身構えたのはラグナだけでなく、俺もだった。


願いが何でも叶う指輪。それを持つ奴が何を願うかなんて、空に雲があるほど分かりやすいもの。



「願う、願うぞ。ネミュレシス!あいつを殺せる奴を召還しろ!」



奴の願いがぶちまけられた。


――途端、爆発音が起こった。


耳を塞ぐ音だろうとも、何も壊れてはいない。


音だけ、あとは風だ。


椅子をガタガタ揺らすほどの地震めいた風がジャラシーを中心に巻き起こる。


まだバッテラ氏の手中に収めていない金が巻き飛ぶが、そんなことよりも。


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