下僕主とツンデレ超えた召喚物
「……え」
犠牲になったのは俺ではなかった。
肩を掴まれ、引っ張られた。
思いっきり、こけるほどに。
目の前には虚ろくも果敢な背中がある。
ラグナだ。
ラグナの背中でそれが、次の名の瞬間、よろよろと崩れた。
「らぐ、ラグナ……!」
ハイハイするようにしてラグナに近づき、体を揺さぶる。
揺さぶれば吐血された。
「な、ん……。おいっ、大丈夫なのかよ。ラグナ……!」
「毒を血ごと吐いただけだ、気に、するな……。っ、あと、安易に刃向かうんじゃない。死ぬぞ」
二、三度血を吐いてラグナがまた立ち上がる。
見据えるは、自分と同じ顔をした人形。
「いやな……顔だ。昔を見ているみたいだ……。力ある眼差しをするな、その目で全てのものを狩ってしまったのだから」