下僕主とツンデレ超えた召喚物
「“世界殺しの魔導師”さん。あなたにここは壊せないわよ」
「……」
奴が黙る。
窓際を離れて机に先ほどまで飲んでいたカップを置いた。
机に置かれたのは空になったカップだった。
「過去の話だ。もうアレはこりごりでな、する気も失せる」
美味しかった、ごちそうさま。と付け加えて奴は部屋の扉に向かった。
高い身長の背中は凛々しくも、どこか寂しげに見える。
うっかりとそのままぼうと見ていてしまいそうになるが、奴が顔だけを俺に向けた。
「っ……」
どきっとするような眼孔。
横顔は凛としているのに、目力がない。
この世全てに飽きたみたいな瞳でも。
「協力してもらおう、召喚者。嫌とは言えないはずだ」
逆らえない恐怖が影にある姿。