下僕主とツンデレ超えた召喚物


した時だった。


「キュー」


いつの間にやら、小さな生物が奴の笑い顔に飛びつき、ぽこぽことその顔を叩いた。


要らぬ邪魔が入ったことで気が散ったか、ミントが床に落ちる。


ぜーぜーと自ら呼吸し、咳を繰り返すミント。


その間にポックルさんが必死に戦っていたが、奴の指先一つでテレサ先生と同じ末路を辿った。


ハエを相手するのと同じだったか、下らない相手だったと再度奴は獲物を見下す。


右手を向けて、黒いリングが幾重にも重なった見たこともない魔術でとどめをさすらしく。


「っ、あ!」


「ミント!」


逃げろなんて遅い。


黒い死は間近、誰にも止められないモノはミントの頭を吹き飛ばす。


【……!】


はずだったのだろう。


何も起こらなかった。
攻撃は当たったのを誰もが目にしたのに、何も起きなかった。


あとからくる呪いなのかと警戒しても、奴の驚き顔から本当に無力で終わったことを知る。


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