下僕主とツンデレ超えた召喚物
浮き出た紋章(エンブレム)。
先生を中心に波紋のごとく早く床に広がっていく。
ざわっと生徒みんなが一歩引いたが、俺はその綺麗さに止まっちまった。
バラのようなピンクの光線、広がり、収縮し、まとまり形を作った。
花開いたバラがつぼみになろうとも美しく、紋章(ただの線)は物体に変化した。
【ブリュンヒルデ】
先生の声。
どくんと鼓動の音を借りた“産声”をも聞いた。
間にして五秒程度。
でも、明らかな変化が先生の横にいる。
赤い騎士だった。
白いマントをした足からつま先まで銅にまとわれた人型。
ただ、関節部分は黒く空洞で空っぽのはずの――それこそ、家に飾るアンティークでしかない人型が。