下僕主とツンデレ超えた召喚物


前に一歩出る。


【扉を開こう。同報が住む監獄への。触手に巻かれ、捨てられよ。そなたのいるべき世界はここではない】


赤い渦が泥人形の背後に現れ、タコの腕みたいなものが泥人形をしめあげた。


ぎゅーっと締め上げる音が、気のせいか泥人形の泣き声にも聞こえて。


「同じ者しかおらぬ世界で、せいぜい“にらめっこ”でもしておくことだ」


パチンと女神様が指を鳴らせば、掃除機で吸い込むゴミみたく泥人形はいなくなった。


強制送還。
他人の召還物をああも簡単に返せるなんて有り得ない。


普通でも三日の時がかかり、ましてや失敗することも多いというのに。


何のリスクも背負わず、涼しい顔で女神様はやってみせた。


唾を飲む凄さ、心拍がドキドキしていれば、くるりと女神様がこちらを振り返る。


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