下僕主とツンデレ超えた召喚物


怒りそうになった。実際はそうだろう――代わりに、泣いちまったんだから。


「お前はいいよな、別れとか気にせず帰れんだから」


へっ、と一滴だけの涙を拭って、また顔を背けようとしたが。


「気にせず帰れるなら、いつまでもここにいない」


体が、止まった。


びっくりした目で見れば、ひどい顔だと笑うラグナ。


「君と同じだよ、俺は。別れを惜しむとは思わなかった。ああ、君はそこまで俺の中に残ったんだ」


一度外を見て、ラグナがまたこちらを見る。


「なら、このまま一緒に……!」


「首輪つきのままでか」


「うっ……」


「ほらな。それに本来、君に召還される者もいるんだ。俺は邪魔だろう、だからのさよならだ。もう二度と――」


< 313 / 319 >

この作品をシェア

pagetop