下僕主とツンデレ超えた召喚物
何か言おうとして、何も言えなかった俺は消化不良の気分を味わった。
「コットン」
「な、なんだ」
「いや、呼んだだけだ」
ふざける奴には気が抜ける。
『俺もそんな名で呼ばれてみたいよ』
そう言った男は、“神々の黄昏”(ラグナレク)の名を持っていた。
名乗ったとき忌々しく口ぶいたのも俺は見ていて。
「ラグナ」
「なんだ」
「俺はお前をラグナって呼ぶからなっ」
「そうか」
自分でもよく分からない。ただ、『ラグナレク』とは言わずに、そう奴を見ないと俺は決めた。
ほんと、よく分かんねえよ。
俺もだけど、掴めない夜空たる奴は人間(俺たち)に少しもその闇の奥を見せてはくれないんだ。
ただ夜空が勝手に俺たちを見通すだけで。