霊務2
【十年前の真実ー13】



部屋に残ったのは2人。







藤原は恐る恐る
声を上げた。







「ふ、副社……

いや米山さん…
どうしてここに…?」







目の前には
あの米山元副社長が
姿勢を正して立っていた







「急に失礼して
すまないねえ…

実は藤原さんに
折り入って話があるんだ」







「私に…?

何ですか?」







ヨネさんは
しっかりとした目つきで
力強く答えた。







「私を、この会社で
雇ってください。

雑用係として
お願いします」







その言葉を聞くと、
藤原は馬鹿なと
言わんばかりだ。







「な…―――!

一体何のご冗談ですか?

副社長だった
アナタを雇うなんて…」







しかも
一番下っぱであろう
雑用係。







いくらなんでも
失礼に値する。







それでも、
ヨネさんの気持ちは
しっかりと
芯を持っていた。







「お願いします…!
どうか…この願いを…」







気持ちをくんでか
藤原はそれに応えた。







「分かりました…

では雑用と言わず
ちょうど営業部の
係長のポストが
空いていますので、
その辺りに配属という
形を…」







言いかけた言葉を
ヨネさんは先に断った。







「私に役職のポストは
いりません!

一番下の
雑用でお願いします!」
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