霊務2
【上に立つべき人間-25】





あの時の事…




誰も知る由のない事…






それを今
礼子はヨネさんを
目の前にして
あの時の台詞を口にした








「まさか…」







信じるに信じられない



目の前に三山が
居ることなぞ。






本当なのかと
ヨネさんは
ゆっくり歩き出した。







「ここに…
三山さんが?」






そう言うヨネさんに
ニッコリと頷く礼子。







近くまで来ると
暖かな風に
包み込まれる。






確かに
何かを感じる事
くらいならできる。






「葬式の時も
綺麗な菊を
ありがとうって

感謝する気持ちで
いっぱいみたいだよ?

だからこそ
勝手な頼みだけど、
ヨネさんを副社長で
自分も一緒に
この三光の未来を
見ていきたいんだって」







「………」







ヨネさんは
礼子の言葉が
聞こえてはいるが
返事はせず、

目をつぶって
風を感じていた。







しばらく
何も言わず
止まった時間が過ぎる。








そして…
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